【ワーホリ体験談】看護師の私がワーホリを決めた理由

 

こんにちは。2019年5月よりトロントにワーホリしているゆかりです。

この記事では、看護師として働いていた私がなぜワーホリをしようと思ったか、についてお話したいと思います。看護師としてこの先働き続けることができるか不安に感じている方や、今看護師だけどワーホリしてみたい!と思っている人に読んでいただけたらと思います。

 

自己紹介

中学の頃より、将来は医療に携わる仕事がしたいと漠然と考えていました。受験を自分の偏差値と向き合い、医師の道は断念、看護師の道へ進むことに。四年制大学を卒業し看護師国家資格と保健師国家資格を取得、地元の総合病院へ就職しました。そこで23歳から27歳までの5年間勤務、年度末で退職し翌年度4月にフィリピンのセブ島へ2週間の語学留学5月の初旬からトロントへ来ています。

私の働いていた病院は一般病床500床程度、二次救急医療病院で、一般診療科に加え手術室や集中治療室、新生児集中治療室、透析センター、緩和ケア病棟など多機能を備えていました。その中で集中治療室へ配属となり、初年度は業務のスピードや内容の高度さ、複雑さについていけずつらい思いもしましたが、指導担当の先輩方のおかげでなんとか一人前になることができました。

勤務は変則二交替と三交替の混合で、私はほぼ二交替でした。日勤は8:30~17:15が定時で、残業といってもたいてい18:00には退社。夜勤の残業は急性期病棟のため本当に日によりました。落ち着きすぎて眠くなってしまうこともあれば、食事の時間すらとれないことも…。その他、時々研修や病棟会議で休日出勤になる(もちろん給料には反映されません)ことはありましたが、プライベートが圧迫されているという印象はなかったです。希望して配属された部署だったので、急性期の緊迫感や責任の重さはストレスというよりやりがいにつながっていました。人間関係もそれなりにいろいろありましたが(ご想像にお任せします)、鬱になるほどではなかったかな。同期や指導の先輩、師長に恵まれました。

 

そんな順調な職場からなぜワーホリへ?

入職3年目の頃(当時25歳)、先輩から「将来どんな道に進みたい?」と聞かれました。看護師の仕事はざっくり分けて、患者さんの側で働く臨床と、病棟・病院経営を行う管理になります。ほとんどの看護師が臨床で働いていますが、自分の病院は割と大きな総合病院であったため、臨床を続けるには大学院へ行って専門・認定の資格をとる必要があります。

私はずっと臨床でやっていきたいと思っていましたが、具体的にどの分野で何を専門的に勉強していきたいかというビジョンはありませんでした。そこで先輩から「海外で働くとか向いてそうだよね。芯が強い性格っていうか、物怖じせずなんでも言えるし」といわれ、”ワーキングホリデー”という制度を初めて教えてもらいました。聞くところによると、その先輩も以前ワーホリに行こうとしたが、そのタイミングで結婚が決まってしまったため行けなかったそうです。また、同病院の中でワーホリに行き、帰ってきてまたここで働いているという人も何人かいるとのことでした。

学生時代、勉強は嫌いではなかったけれど、英語だけは本当に苦手でした。私はずっと日本で暮らすから英語なんて要らないと本気で思っていましたね。でもワーホリは海外で働くことだけが目的ではなく、”自国・地域の文化や一般的な生活様式を理解する機会を提供する日本ワーキング・ホリデー協会 HP参照)”ことを目的としています。今まで一度も海外へ行ったことがなかったので、海外というものを見てみたい、一生のうち一年くらい海外で生活してみたい!と思い、さっそくインターネットで検索、いくつかの会社の無料資料請求をして、電話でお話できたエージェントのカウンセラーさんと意気投合。あっという間に興味が現実のものとなっていきました。

 

ワーホリ準備

国選び

先に述べたように、私は人生で一度も海外へ行ったことがありませんでした。パスポートも人生初取得。どこの国がいいのかなんて全くわかりません。とりあえずの希望である”英語圏であること”と”治安がいいこと”を担当カウンセラーさんに伝えました。「海外で何がしたい?」と聞かれたのですが、行ったことがないし、今まで洋画や洋楽等、海外のものに興味も無かったので何も答えられません。特に思い入れのある趣味もないし、とりあえず海や山といった自然が好き、という話をして、まずはオーストラリアが候補になりました。しかし担当カウンセラーさんは高校時代からニュージーランド、オーストラリアと留学経験がある方で、どちらかというと学生留学がご専門でした。そこで、社会人留学・ワーキングホリデーに詳しいカウンセラーさんへ相談していただき、カナダのトロントへ変更となりました。理由としては、

  • 社会人経験があり、親元を離れて自立した生活を日本で送っていたのであれば、ある程度都会であるほうがよい
  • 英語修得だけが目的ではなく、世界の様々な人と会って話してみたいのであれば、移民の多いカナダが適している
  • トロントからであればニューヨークのブロードウェイに簡単に行ける(私が学生時代にミュージカルをやっていたことから)

とのことでした。聞いた話によると、看護師を辞めてワーホリに行く人はカナダを選ぶ人が多いのだそう。多分、そんなに論理的根拠は無いと思うんですけど、そのカウンセラーさんの長年の経験ですかね。実際トロントに来て、日本で看護師をやっていたという人とたくさん会いました。

 

英語力

担当カウンセラーの方からも、いくら語学の修得が目的のワーホリではないとしても、「英語ができたほうが間違いなく楽しいよ」と言われました。学生時代の私の英語力は中の上といったところでしょうか。しかし大学では英語が必須科目ではなかったものですから、センター試験勉強が最後の記憶、ほぼ10年のブランクでした。留学エージェントからもオリジナルテキストが配布され、打ち合わせの度に「最近、(英語の勉強は)どう?」と聞かれ、さらにエージェントオフィスで行われている英会話教室へ通うことを勧められ…。仕事を言い訳になかなか勉強の時間がとれずに焦っていましたが、オフィスまで片道2時間かけてレッスンに通うことは難しく、代わりに地元で週1回、40分ワンレッスンの英会話教室に通い始めました。

割高ではありましたが、週に1回でも英語に触れる機会が、そのほかの時間で英語を勉強するモチベーションになっていましたし、講師のアメリカ人とレッスン外で遊びに行く仲になれたため、通ってよかったなと思っています(遊びに行くようになったのは私もスクールを辞め、講師も違う英会話教室へ移ってからでした。講師と生徒の間柄ではそういうのは無いと思います。)渡航4ヶ月前に人生で初めて受けたTOEICはListening285+Reading185=470点でした。

また、渡航半年前くらいに、フィリピンへ語学留学に行かないかとのお話をいただきました。その理由としては

  • ワーホリは1年という期限があるため、その範囲内で英語のためだけに学校に通うというのは時間がもったいない
  • フィリピンは物価が安いため、同じ時間・期間学校に通うことになってもカナダよりずっと安く済む
  • フィリピンの語学学校は1対1レッスンが主流のため、シャイなアジア人(特に日本人)にはオススメ

とのことです。

ワーホリに行く人はこのような「2カ国留学」のスタイルをとることが近年増えているんだそうです。カウンセラーさんからは2~3週間だけでも、と言われ、自分のスケジュールと照らし合わせて4月に2週間だけ行くことにしました。

私が行ったのはフィリピンのセブ島にある「CDU ESL CENTER」というところで、セブ医科大学の付属語学学校になります。発展途上国であるフィリピンは、場所によっては治安の悪いところもありますが、そこは敷地内に寮があり、入り口に24時間セキュリティもいたため特に危険なことはありませんでした

授業は週30レッスン(6コマ×5日間)、1コマ50分授業で10分休憩。8時~17時(うち12~13時はランチ)の8コマのうちで6コマ分の授業が組まれました。4コマは1対1体制でSpeaking、Reading、Talking、Grammer、残り2コマは4人グループでの授業でListeningとDiscussionでした。Speakingは定型文を話す練習、Pronunciationに近いく、Talkingは趣味は?週末何してた?などFree talkに近い授業です。2週間という短い期間ではありましたが、耳に入ってくるのはすべて英語、そして自分の意見を話すことを求められるという日本教育ではあまりない環境に居られたことは、すごく意味があったなと感じています。

 

お金の話

ワーホリの準備を始めた段階で入職3年目でしたが、本当に貯金がありませんでした…。1年目は一人暮らしを始め、家具家電・敷金礼金、とお金が飛んでいき、2年目は新車を買いました(田舎なので車がないと生活が不便だったため)。3年目もアパートの2年契約を更新せず引越しを行い、再びお金が飛んでいきました。

よく言われているカナダワーホリ準備金は100~130万。エージェントを通さないワーホリ、なるべく安く抑える方法、などさまざまな記事を読みましたが、初海外の私にはどれもハードルが高すぎて…。日々の出費もなるべく抑え、最後の1年は実家に戻り貯金をしました。主な出費は奨学金返済で約16000円/月、英会話スクールで20000円/月、個人年金で10000円/月、さらに車の保険料、ガソリン代等車の維持費、スーツケースや持って行く日用品、薬、コンタクトレンズなどの準備費、渡航前に済ませた歯科・耳鼻科・内科などの診察費・・・結構かかりましたね。看護師って高給取りと思われているかもしれませんが、その生活に5年慣れると、貯金は難しいものです。月10万は貯金しようとがんばりましたね。

私のフィリピンとカナダの渡航費用は下記の通りです。

項目 フィリピン カナダ
プログラム

申込金

60,000 150,000
入学金

授業料

110,000(週30レッスン×2週間、寮滞在費、3食/日付き) 390,000(週20レッスン×12週)
国際通信費 10,000 10,000
送金手数料 6,000 12,000
海外保険 17,000(2週間、エマージェンシーデスク含む) 260,000(12ヶ月)
現地サポート料 60,000
ホームステイ 190,000

(3食/日、18週間)

ビザ取得

サポート料

10,000
合計 224,770(その他雑費を含む) 1,090,000(その他雑費を含む)

これのほかに、航空券があります。うろ覚えですが、フィリピンは6~7万、カナダは17万くらいだったと思います。どちらも東京からの直行便、そして往復です。カナダは帰国日を変更できる航空券にしてもらいました(日付変更手数料は15,000円)。

 

気持ちの準備

よく、看護師は資格があるから辞めてもまたすぐに働けるよね、と言われます。それもあながち間違いではないと思うのですが、「労働環境を考えなければ」「キャリアを気にしなければ」の話だと思います。私は子供のころから医療に憧れていたし、実際に働きながらもやりがいを感じていました。その最中で仕事を辞めて一年現場から離れるというのは、日々進歩している医療の世界や、そもそも日本の社会から取り残されるような感覚がありました。大学時代や職場の同期は、病院の新しい取り組みの重役になったとか、病院代表で地方の学会へ発表しに行ったとか、そんな功績を挙げ始めています。将来も看護師として働きたい、キャリアもそれなりに積みたいと思っていたので、ここで病院を辞めてもよいものだろうかと悩みました。

でも、自分のなりたい看護師像って何だろう?自分の看護観って何だろう?と考えたときに、まだはっきりとは自覚できていませんでしたが、この病院に長く勤めても夢は叶わないんじゃないかと思ったんですよね。そこで「転職しよう」と思いました。そして、どうせ辞めるのであれば、気になっているワーホリに行ってみようと思ったんです。ワーホリに行くから辞めるのではなく、転職するために退職するからワーホリに行く、という発想の転換をしました。辞めることを先に決断してしまうと、一年のブランクが空くこととか、自分の夢がはっきりと定まっていないこととかを不安に思っても仕方ないかなと思えたんですよね。逆に、医療の世界から離れて客観的に自分を見つめなおすことで、幅広い選択肢の中から自分の本当にやりたいことを見つけることができると考えました。

4年目の4月には辞める意思を固めていたのですが、実際に師長に話をしたのは5年目の4月でした。師長に、ほかのスタッフに伝えるのは退職半年前でよいのではないかと言われたため、9月の病棟会議で全体に報告させてもらいました。同僚、先輩方から「やりたいことが決まっているなら引き止められない。でもまたいつでも戻ってきていいんだからね。」との温かいお言葉をいただき、無事に円満退職となりました。

 

周りの反応

職場の人、友人たちは上記のように好意的に受け止めてくれました。学生時代に一度は留学を夢見たけど、さまざまな理由で断念した人、海外旅行は好きだけど住む勇気はないという人、いろいろな人がいろいろな価値観で「海外」へのイメージを語ってくれました。今まで海外に興味もなかった私は、誰かとそんな話をしたことがなかったので、それだけでとても新鮮な気持ちでした。

大変だったのは両親です。昔から放任主義というか、私が望むことには口を出さず見守ってくれたタイプだったのですが、今回ばかりはこちらも話すのにすごく緊張しました。最初に聞かれたのは「なぜ?」ということ。上記のような理由を説明し、母は納得してくれましたが、父からは「それは海外に行かなくてもできるのでは。せっかく大学まで行って資格を取ったのに辞めるのはもったいない。」と言われました。母が父をなだめてくれてその場は納まりましたが、その後母からも「心配なだけだから。」と泣かれてしまいましたね。2つ年上の兄も、仕事で行き詰っていて辞めたいと言っていたところだったので報告しにくかったのですが、結果的には応援してもらえる形となりました。私は頑固な性格もあるのですが、なんでもよく考えてから行動するタイプなため、人から意見を言われても簡単に聞けないことが多いです。だって、自分の人生は自分だけのもの自分が後悔しないように生きたい。ただ、身近な人たちの大切さはこのときすごく感じました。悲しませたいわけではない、心配なのも理解できるが、私が私らしく生きることで納得してはもらえないかと説得し、無事丸く収まりました。

 

まとめ

私はこれらのことから、ワーホリに行こうと決意をし、準備をし、渡航しました。当初は一年、短くとも10ヶ月は行こうと思っていたのですが、来てみて、いろいろなことがあって、6ヶ月で帰国します。

よく「失敗しないワーホリ」みたいなタイトルの記事を見かけますが、私はワーホリは「人生」だと思っているので、「失敗」はないと思うんです。自分の幸せは自分の心が決める、ですから、どんなつらい状況にあっても諦めない限りそれは糧でしかない。身近な人との衝突も、分かり合えるまで話し合えば絆はさらに深まるお金のこともそう、英語のこともそう、壁にぶつかって、それを乗り越えていく過程が自分を成長させてくれるもの。失敗を恐れて何もしないよりは、まずはやってみることをお勧めしたいです。

看護師さんには伝わりやすいでしょうが、PDCAサイクルです。計画を立て(Plan)、実行し(Do)、その結果を評価して(Check)、改善する(Action)。人生という大きな枠組みに対しても、日々これを実行していければ、日本にいようと海外にいようと、きっと実りある「今」を過ごすことができるでしょう。

また、私は語学習得が目的ではないため、現在でも英語はあんまり喋れてません。バイトも全員日本人スタッフの日本食レストランでした。現地では日本人の友達が多いです。カナダより日本が住みやすいなってやっぱり思ってしまいます。一般的に言われている華々しいワーホリとは似て非なるものですが、それでも私は幸せでした。来てよかったと本当に思っています。今、ワーホリに行こうか悩んでいる人がいるのであれば、ぜひ行くことをお勧めします。

ゆかり